なつかしい童話




覚えていますか?このシルエット。



ある村に、インゲルという美しい少女が住んでいた。

その美貌ゆえに高慢な性格の彼女は、
奉公先の夫人からいただいたお土産のパンを、
自分のドレスを汚したくないという思いから、
雨の水たまりのぬかるみに放り投げ、パンの上に飛び乗った。

すると、その途端にパンはぬかるみの底へインゲルを乗せたまま沈み、
二度と浮かび上がることは無かった…



       *       *       *

これは、アンデルセンの『パンを踏んだ娘』の物語の一節です。
かなり前にNHKで放映されたことを記憶している方もいると思います。
慢心の恐ろしさを物語るスト−リーです。

この物語には続きがあって、
灰色の小鳥に生まれ変わった「パンを粗末にした娘」は、
今度はパンのひとかけらも粗末にせず、他の鳥に分け与えたとか。
そして、分け与えたパン屑が、前世粗末にしたパンと同じ量と同じになったとき、
天国に召されたということです。




もうひとつ、
善い行いが世の中にひろがってゆく話も紹介したいと思います。
(昔の私のブログを整理していたら出てきた記事です。)


       *       *       *

ある貧しい家庭で、病気がちな少年が床に臥していた。
家は貧しいため両親の力では息子の病気を治す術もなかった。

少年が瀕死だという事を知ったある医者は、
その貧しい家を訪れると、何も言わず少年を治療し、
少年の容態はみるみるうちに回復していった。

両親が、「今は無理ですが、いつか必ずお礼がしたいので
お名前だけでも教えてください」と言っても、医者は名乗ろうとはしない。
ただ少年に向かって、
「病気が治って、幸せか?」と尋ねた。

少年が「とても幸せです」と答えると、医者は、
「そうか、それならばその幸せを今度は、
君が大きくなったときに世の中にお返しするといい。」
とだけ言って、立ち去る。

数十年後、あの少年は立派な医者となっていた。




       *       *       *




いかがだったでしょうか。

「恩返し」ではなく、バトンリレーのような「恩渡し」という発想です。

インゲルの罪も、医者の恩も、
流れて、長い旅路を経て、再び自分に還ってくると考えると、
日々引き締まる思いになりますね。



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2011年06月12日 Posted byOwner at 22:00 │Comments(0)哲学

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